古材の梁を現した町家リノベーション『古色の間』の土間
Renovation|鎌倉市材木座|2024

古色の間

築七十二年の町家を、壊さずに継ぐ。
飴色の梁はそのままに、暮らしの中身だけを
静かに入れ替えたリノベーション。

所在地神奈川県鎌倉市材木座
家族構成ご夫婦(在宅で工房を営む)
構造/規模木造2階建(既存/一部減築)
延床面積112.3㎡(34.0坪)
築年数築72年(1953年築)
設計期間約6ヶ月(耐震診断を含む)
工期約7ヶ月
竣工2024年5月
Owner's Request

施主の要望

陶芸の工房を営むご夫婦が、奥様の祖父母から受け継いだ材木座の町家。取り壊して新築する案も検討されましたが、「祖父が手をかけた梁を、どうしても捨てられなかった」とおっしゃいます。

とはいえ、冬は底冷えし、耐震性にも不安のある古い家。「古さの良さは残したい。けれど、寒くて危ない家には住みたくない」。この相反する願いに加え、土間を陶芸の作業場として使えるようにすること、来客が作品を見られる小さなギャラリーを設けることが条件でした。

まず耐震診断を行い、残せる柱・梁と、補強が必要な箇所を一本ずつ見極めました。飴色に育った小屋組はそのまま現しに。一方、壁の中には耐力面材と断熱材を新たに仕込み、見た目は「古いまま」、性能だけを現代基準へ引き上げています。

暗く仕切られていた一階は、一部を減築して土間と一体の大空間に。北側にあった台所を南へ移し、冬でも陽の入るキッチンとしました。古い建具は洗い直して再利用し、新設する部分との「年代差」をあえて見せることで、時間の層が家の表情になっています。

「壊さなくてよかった、と毎朝思います。祖父の梁の下で、私たちの仕事ができている」。継ぐことの価値を、改めて教えていただいた現場でした。

Design Solution

設計の工夫

見た目は古いまま、性能だけを現代へ。残すものと変えるものを、一本ずつ選び分ける。

「壊さなくてよかった、と毎朝思います。祖父の梁の下で、私たちの仕事ができている。」

— 材木座・陶芸工房 ご夫妻

受け継いだ家を、
これからも住める家に。

古民家・町家の再生も得意としています。耐震診断からアフターまで、設計施工で一貫してお手伝いします。